コラム

コーポレートガバナンスとは?徹底するメリットと基本原則を弁護士がわかりやすく解説

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コーポレートガバナンスとは「企業統治」のことであり、企業経営の規律や評価体制の仕組みを意味します。

内部統制が主に従業員の監視や評価を目的とする一方で、コーポレートガバナンスは、主に経営陣の監視や評価を目的とします。
コーポレートガバナンスを強化することで、企業不祥事や不正の防止につながり、ひいては企業価値の向上につながるでしょう。

では、コーポレートガバナンスを強化するためには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか?
今回は、コーポレートガバナンスについて、弁護士が概要を解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(大阪弁護士会)
立命館大学法学部法学科卒業、神戸大学法科大学院修了。不動産法務(建物明け渡し請求、立ち退き請求など)を中心に、交渉や出廷など、数多くの訴訟を経験。刑事事件では、被疑者の身体拘束からの早期釈放や不起訴を獲得するため、迅速な対応を心掛けるとともに、被害者側の支援活動にも積極的に取り組む。
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コーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンスとは「企業統治」を意味する用語です。
企業経営を監視する仕組みを構築することで、企業の不祥事を防止したり、企業価値を高めたりすることを目的としています。

本来、株式会社は経営者のものではなく、株主のものです。
また、株式会社は株主の他に顧客や従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーの中で存在しています。

にもかかわらず、適切なガバナンスが働いていなければ、目先の利益を上げるために不正が横行したり、不祥事が生じてしまったりするかもしれません。
このような事態を防止するための仕組みがコーポレートガバナンスです。

コンプライアンスとの違い

コーポレートガバナンスと似たものに、「コンプライアンス」があります。
コンプライアンスは「法令遵守」などと訳されますが、法令のみならず、企業倫理の遵守なども含まれる概念です。

コンプライアンスは法令などを遵守することそのものを意味する一方で、コーポレートガバナンスはコンプライアンスなどを実現するための体制構築を指します。

内部統制との違い

不正や不祥事を防ぐための監視体制という意味では、コーポレートガバナンスと内部統制は共通し、両者は整合することが求められます。
しかし、これらは誰が誰を監視することに重きを置いているのかが異なっており、それぞれ次のとおりです。

  • コーポレートガバナンス:社外取締役や株主などが、主に経営陣を監視する仕組み
  • 内部統制:経営陣が、主に従業員を監視する仕組み

コーポレートガバナンスを徹底するメリット

コーポレートガバナンスの徹底は、上場企業に対して義務付けられています。

しかし、非上場企業や中小企業がコーポレートガバナンスを取り入れることに意味がないわけではありません。
むしろ、中小企業などが積極的にコーポレートガバナンスの強化に取り組むことには、多くのメリットがあります。

コーポレートガバナンスを徹底することによる主なメリットは次のとおりです。

企業不祥事を抑制できる

企業不祥事は、今やどの企業にとっても他人事ではありません。
特に、複数の取締役が存在する企業においては、一部の取締役などの暴走によって企業価値が大きく低下するリスクがあります。

コーポレートガバナンスを徹底することで、企業不祥事を抑制することにつながるでしょう。

企業の信頼性が向上する

コーポレートガバナンスを徹底する最大のメリットは、企業の信頼性が向上することです。

ただし、企業の信頼は一朝一夕には構築できるものではありません。
コーポレートガバナンスの徹底による信頼関係の構築は、非常に地道なものです。

しかし、株主や顧客、金融機関、取引先、求職者などからの信頼を積み重ねていくことで、ひいては売上の増大や優秀な人材の雇用など、企業価値の増大につながっていくことでしょう。

コーポレートガバナンスを徹底する際の留意点

コーポレートガバナンスを導入・徹底することには、留意点も存在します。
主に挙げられるものは、次のとおりです。

導入や徹底にあたって人的・時間的コストが必要

コーポレートガバナンスの導入・徹底には、コストがかかります。
コーポレートガバナンスの導入にあたっては、外部のコンサルタントや弁護士などによる助言が必要となるほか、社外取締役や監査役を設置すれば、継続的な費用も発生するためです。

適切な機関設計をすることが必要

コーポレートガバナンスを徹底するためには、その会社にとって適切な機関設計を選択することが不可欠です。
取締役の家族など身近な人物を単に監査役として登記するといった形式面を整えても、実質的な面からは、意味があるとはいえません。

コーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則

コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が行うコーポレートガバナンスにおけるガイドラインとして、参照すべき原則や指針を示したものです。※1
「Corporate Governance」の頭文字から、「CGコード」と略されることもあります。

日本では、金融庁と東京証券取引所が共同で公表した「原案」をもとに2015年に東京証券取引所が策定し、2021年に2回目の改訂がなされました。
コーポレートガバナンス・コードは上場企業に向けたガイドラインであるものの、中小企業や非上場企業がコーポレートガバナンスを強化するにあたっても、参考となるものが多いでしょう。

このコーポレートガバナンス・コードには、5つの基本原則、31の原則、47の補充原則が定められています。

ここでは、抽象的な原則である5つの基本原則を紹介します。
あくまで紹介に留まるため、具体的な実践方法は、原則や補充原則を踏まえ、個々の企業にとって何が適切であるかを分析・検討する必要があります。

株主の権利・平等性の確保

コーポレートガバナンス・コードの基本原則の1つ目は、株主の権利と平等性の確保です。
抽象度は極めて高いですが、株式会社にとって根幹となる重要な原則となります。
ここでは、次の内容が要請されています。

  • 上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。
  • 上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。
  • 少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。

株主以外のステークホルダーとの適切な協働

基本原則の2つ目は、株主以外のステークホルダーとの適切な協働です。
OECD原則を踏まえた基本原則であり、ステークホルダーとの関係性を重視する日本の企業文化を反映した結果との指摘があります。
ここでは、次の内容が要請されています。

  • 上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
  • 取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

適切な情報開示と透明性の確保

基本原則の3つ目は、適切な情報開示と透明性の確保です。
非財務情報の重要視がピックアップされており、開示に当たってわかりやすさが求められています。
ここでは、次の内容が要請されています。

  • 上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。
  • その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

取締役会等の責務

基本原則の4つ目は、取締役会等の責務です。
持続的かつ中長期的な視座での成長が責務として求められ、モニタリング・モデルに関する姿勢が示されています。
ここでは、次の内容が要請されています。

  • 上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、次の内容をはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。
    • 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
    • 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
    • 独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
  • こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの機関設計を採用する場合にも、等しく適切に果たされるべきである。

株主との対話

基本原則の5つ目は、株主との対話です。
ここでは、次の内容が要請されています。

  • 上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
  • 経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。

コーポレートガバナンスを強化するための主な取り組み

コーポレートガバナンスを強化するため、具体的にどのような取り組みをすればよいのでしょうか?
主な取り組みは、次のとおりです。

なお、コーポレートガバナンスは単なる小手先のテクニックではなく、企業のあり方や企業文化の根底にかかわるものです。
そのため、一朝一夕に強化できるようなものではなく、地道な取り組みを重ねることで浸透するものであることを理解しておきましょう。

弁護士など外部の専門家に相談する

コーポレートガバナンスの強化をしたいとお考えの際には、まず弁護士など外部の専門家へご相談ください。
コーポレートガバナンスを強化するためには、何が課題であり、どういった体制構築がベストであるのかという点を、第三者の視点で分析・検討を行うことが求められます。

その際には、外部の専門家のこれまでの経験なども踏まえ、実績のある専門家を選んで取り組んでいくことが重要です。

内部統制を強化する

コーポレートガバナンスを強化するには、内部統制の強化が不可欠です。
コーポレートガバナンスと内部統制は両輪であるといっても過言ではありません。
内部統制を実現することなく、コーポレートガバナンスを強化していくことを実現することは困難です。

内部統制を強化するために行うべき主な対応としては、次のものなどが挙げられます。

リスクの洗い出し

社内に点在するリスクを洗い出します。
たとえば、不正や不祥事が起き得るリスクや、特定の取引先に依存しているリスクなどです。

社内規程や行動規範などルールの整備と目的・趣旨の周知

洗い出したリスクを踏まえて、社内規程やワークフローを整備します。
併せて、社内に徹底する行動規範も策定しておくとよいでしょう。

社外取締役や監査役を設置する

コーポレートガバナンスを強化するためには、経営陣を適切に監視し、評価する社外取締役や監査役の設置が必要になります。
また、コーポレートガバナンスを強化する目的で設置する以上は、経営陣の身内などから選任するのではなく、利害関係のない外部の有識者から選任するべきでしょう。

社内に浸透させる

コーポレートガバナンスを強化するためには、コーポレートガバナンスの強化へ向けて体制を整えていることや取り組みの具体的な内容などを、社内に浸透させる必要があります。

また、コーポレートガバナンス強化の目的についても、しっかりと説明するとよいでしょう。

まとめ

コーポレートガバナンスの徹底は、上場企業に義務付けられているものです。
しかし、非上場企業や中小企業がコーポレートガバナンスを強化することには、多くのメリットが存在します。
コーポレートガバナンスを強化して経営体質の土台を固めておくことで、企業の信頼性が向上し、持続的な企業成長につながりやすくなるでしょう。

非上場企業であれば必ずしも上場企業と同等の仕組みを導入するのではなく、自社で無理なく行える取り組みから順次導入していくことも一つの手です。

しかし、コーポレートガバナンスの強化を行おうにも、自社のみで行うことは容易ではないでしょう。
そのため、まずは実績のある外部の専門家へ相談することをおすすめします。

Authense法律事務所ではコーポレートガバナンスの強化支援に力を入れており、主に法務の視点から企業のガバナンスの強化をサポートしています。
コーポレートガバナンスの強化をしたいとお考えの際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

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