コラム

2021.08.24

著作権はどこまで追及される?コンテンツ企画で企業が注意すべきこと

著作権はどこまで追及される?コンテンツ企画で企業が注意すべきこと

コンテンツ企画時に知っておくべき著作権について詳しく解説します。 コンテンツ企画をする際には、著作権侵害をしないよう注意を払う必要があります。 著作権を侵害すると損害賠償請求がなされたり刑事上の責任を問われたりする可能性などがあるためです。

文責
authense
Authense法律事務所

著作権とは?

著作権とは、著作物を保護するための権利です。※1
コンテンツ企画をするにあたっては、著作権への理解を避けて通ることはできません。
著作権を正しく理解していなければ、意図せず著作権を侵害してしまう可能性があるためです。
まずは、著作権の概要について解説していきましょう。

著作権の対象となるもの

著作権の対象になるのは、著作物です。
「著作物」は、著作権法にて「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」とされています。

このように、著作権の対象となるものは広範であり、特許権などのようにどこかへ登録されているものだけが対象となるわけではありません。 創作と同時に、著作権の対象となるのです。※1

また、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とありますが、小説家の書く小説や美術館に飾られた絵画のような文学性や芸術性の高いものだけが著作権の対象となるわけではない点にも注意が必要です。

例えば、企業のWebサイトの記事や写真家などではない一般個人がSNSに投稿した写真、子供の描いた絵なども著作権の対象となり得ます。
このように、著作権の対象となるものはかなり広いことを知っておきましょう。

著作権の対象とならないもの

次のようなものは、原則として著作権の対象とはなりません。※2

  • 事実やデータ:単なる事実やデータであれば、著作権の対象とはなりません。ただし、事実やデータを用いて作成された図表や文章は著作権の対象となることがあります。
  • 時事の報道:時事の報道は著作権の対象となりません。ただし、文章や表現に工夫がされたものは、著作権の対象となることがあります。
  • 思想やアイデアそれ自体:著作権は表現されてはじめて生じる権利です。頭の中で考えているだけの状態では、著作権の対象となりません。
  • ありふれた表現や極めて短い文章:ありふれた表現やごく短い文章は著作権の対象となりません。ただし、どの程度であればこれに該当するのかについて明確な線引きがあるわけではありませんので、安易な判断は禁物です。

著作権(財産権)と著作者人格権とは

著作権は、著作者人格権と狭義の著作権(財産権)に分類できます。
それぞれの概要は次のとおりです。

著作者人格権とは

著作者人格権とは、著作者自身が精神的に傷つけられないようにするための権利です。
そのため、著作権自体が譲渡されたとしても、この著作者人格権は著作者に残存し、著作者が死亡すれば消滅します。

著作者人格権には、次のものが含まれます。

  • 公表権:未公表の作品を公表する権利、公表するとしてその時期・方法などを決定することができる権利(無断で公表されない権利)です。ただし、未公表作品の著作権を譲渡した場合などには、その作品の公表にも同意したものと推定されます。
  • 氏名表示権:著作物の公表に際し、著作者の実名やペンネームを著作者名として表示することや、著作者名を表示しないことを決める権利です。ただし、著作物の利用態様から見て著作者の権利を害するおそれがないときは、著作者名を表示しなくても構いません。
  • 同一性保持権:著作物を勝手に改変されない権利です。ただし、やむを得ない改変などは認められています。

狭義の著作権(財産権)とは

狭義の著作権とは、著作権のうち財産的な側面に焦点を当てた権利です。
著作権を譲渡したり相続したりした際には、この財産権としての著作権が移転します。

狭義の著作権の内容、次のとおりです。

  • 複製権:著作物を複製する権利です。
  • 上演権・演奏権:著作物を公衆に上演したり演奏したりする権利です。
  • 上映権:著作物を公衆に上映する権利です。
  • 公衆送信権等:著作物をテレビやインターネットなどを通じて公衆に送信する権利です。
  • 口述権:言語の著作物を公衆に口述する権利です。朗読や講演などをイメージすると良いでしょう。
  • 展示権:美術の著作物や未発表の写真の著作物の原作品を公衆に展示する権利です。
  • 頒布権:映画の著作物を公衆に頒布する権利です。
  • 譲渡権:映画以外の著作物の原作品やその複製物を譲渡により公衆に提供する権利です。
  • 貸与権:映画以外の著作物を貸与により公衆に提供する権利です。
  • 翻訳権、翻案権等:著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化など翻案をする権利です。
  • 二次的著作物の利用権:自分の著作物を原著作物とする二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作権者と同じ権利をもつことをいいます。

転載と引用の違い

著作物を利用する際には、転載と引用について正しく理解する必要があります。
無断での転載は著作権を侵害する可能性の高い行為である一方、適切な引用であれば原則として著作者の許諾は不要であるためです。

適切な引用のルールは、次のとおりです。

  • 他人の著作物を引用する必然性があること
  • かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていること
  • 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること
  • 出所の明示がなされていること

これらのルールに合致しない場合には転載となり、無断で行った場合には著作権侵害となる可能性があります。

著作物が自由に使えるケース

下記に該当する場合には、著作物を自由に利用することが可能です。※3
数が多いため、コンテンツ企画者が知っておくべき点に絞って紹介します。

  • 私的使用のための複製:家庭内で仕事以外の目的のために使用する場合です。家族で聴くためにコピーガードのついていないCDを複製したり、家族に読ませるために雑誌をコピーしたりすることなどを指します。なお、企業内での複製は私的使用とはいえないとされているので、例えば雑誌の記事をコピーして部署内に配布する行為は原則として著作権侵害です。
  • 引用:前述のとおりルールに則って適切に行う必要があります。
  • 営利を目的としない上演等:顧客から料金を取らないのみならず、出演者などが無報酬である必要もあります。
  • 時事問題に関する論説の転載等:特に禁止されていない限り、新聞紙や雑誌に掲載された時事問題に関する論説(学術的なものを除く)は、他の新聞、雑誌への転載や放送等が可能です。
  • プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等:プログラムの所有者は、自ら電子計算機で利用するために必要な限度でプログラムを複製したり翻案したりすることができます。

その他、教育目的での複製や裁判手続きのための複製、視覚・聴覚障がい者のための複製などは自由に行うことが認められています。

一般の企業が著作物を自由に使える場面は非常に限られていますので、注意しましょう。

著作権を侵害するとどうなる?

万が一著作権侵害をしてしまうと、次のようなリスクが生じます。※4

損害賠償請求などを受ける

著作権侵害をした場合には、著作権者などから利用の差し止めを受ける他、損害賠償請求を受ける可能性があります。
損害賠償額の考え方は著作権法に規定があり、侵害者が得た利益がそのまま損害額と推定されることもあるため、非常に高額となる場合も少なくありません。
さらに、著作者人格権をも侵害した場合には、謝罪広告の掲載など名誉を回復するための措置を請求される可能性もあります。
安易な著作権侵害が高額な損害賠償などにつながることもあるため、注意が必要です。

刑罰の対象となる

著作権侵害をすると、上記の民事上の責任を問われるのみならず、場合によっては10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金という重い刑罰の対象にもなり得る点にも注意が必要です。
法人が著作権侵害をした場合には、その実行者が上記の処罰を受けることに加えて、場合によってはその法人にも3億円以下の罰金が科される可能性もあります。

社会的信用を損なう

著作権侵害をしてそのことが公となれば、企業の社会的信用を損なう可能性が高いといえます。
コンテンツ企画をする企業が著作権侵害をしたとなれば、以後の業務受注へも多大な影響が出てしまうことでしょう。

コンテンツ企画で著作権を侵害しないために

前述のとおり、著作権侵害をしてしまえばその影響は計り知れません。
そのため、万が一にも著作権侵害をしてしまわないよう対策が必要です。

コンテンツ企画で著作権侵害をしないために、5つの対策を紹介していきます。

著作権について正しく理解する

著作権侵害をしないためには、関係者全員が著作権について正しく理解しておくことが重要です。
著作権の理解が誤っていれば、誤った認識から著作権侵害を行ってしまう可能性があるためです。

著作権についてはすべての企業が正しく理解しておくべきですが、特にコンテンツ企画などを行う企業にあたっては、定期的に研修を行うなど、著作権への理解の浸透に努めるべきだといえるでしょう。

許可の必要のないコンテンツを使用する

著作権侵害をしないためには、許可が不要なコンテンツを利用することも一つの方法です。
許可の要らないコンテンツには、主に次の3つの態様が存在します。

  • 著作権が放棄されているもの
  • 著作権は放棄されていなものの、自由な利用が許諾されているもの
  • 著作権の保護期間が終了したもの

昨今、写真やイラストなどを完全無料や月額会費を支払うことでその都度許可を取ることなく使用できるサイトも多く存在します。
ただし、こうしたサイトの多くは、上記のうち「著作権は放棄されていなものの、自由な利用が許諾されているもの」です。
中には、著作者の氏名の明示することといったルールがあるものや、一定の利用制限があるものもあるため、利用規約をよく確認してから使用するようにしてください。

引用をする際は正しく行う

著作権侵害をしないためには、正しい引用方法を知っておくことも重要です。
コンテンツ制作において引用をすることもあるかと思いますが、引用のルールから外れてしまうと無断転載となり、著作権侵害となる可能性があります。

コンテンツ作成委託時には委託先の著作権侵害にも注意する

コンテンツ作成を外部へ委託する際には、委託先の著作権侵害にも注意しましょう。

仮に委託先の著作権侵害を発注者が知らなかったとしても、発注者には委託先の著作権違反に注意を払う責任があり、その注意を怠ったとして著作権侵害の責任を問われる可能性があるためです。※5

委託先の著作権違反を予防するためには、次のような対策が考えられます。

  • 委託先をきちんと選定する
  • 著作権違反の法的リスクにつき委託先と共有する
  • 業務委託契約書などで著作権侵害をしないよう誓約させる

委託先と著作権に関する契約を締結する

コンテンツ作成を委託する際には、その作成した著作物に関して発注者に帰属するよう業務委託契約書などで取り決めをしておくことも必要です。
著作権は、著作をした時点で発生し、その著作をした人に帰属します。
そのため、何ら取り決めがなければコンテンツを実際に作成した人に著作権が発生することが原則なのです。

委託先から著作権を主張されトラブルとなってしまわないよう、あらかじめ文書で著作権の帰属に関して取り決めをしておきましょう。

まとめ

著作権につき正しく理解をしていなければ、意図せず侵害をしてしまうことにもなりかねません。
本文で記載のとおり、著作権侵害のペナルティは決して軽いものではありませんので、コンテンツ企画を行う際には関係者全員が著作権についてきちんと理解しておくようにしましょう。

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