遺言・遺産相続の基本知識・用語集
さ行

遺言・遺産相続に関する基本知識・用語を解説します。

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親族外承継(社内承継) (しんぞくがいしょうけい(しゃないしょうけい))

社内承継とは、親族以外の会社の役員・従業員に事業を承継する手法です。
この手法は、一般に、経営者が、能力のある人材を見極めて後継者を選出することが可能であり、会社で働いてきた役員・従業員であれば、経営方針等の一貫性を保ちやすいことがメリットとして挙げられます。
これに対して、社内承継の場合、後継者を決めるにあたり、現経営者の親族や、取引先、従業員、後継者である従業員の配偶者などといった会社関係者の十分な理解を得る必要があることから、比較的時間がかかることが指摘されています。

親族内承継 (しんぞくないしょうけい)

親族内承継とは、会社の経営者の親族に事業を引き継がせる方法をいい、事業承継のパターンのうちの1つです。親族内承継は社内外からの理解が最も得られやすいばかりでなく、早期に後継者を決定することができ、準備期間を十分に確保できます。

もっとも、親族内に経営者の資質と意欲を持つ後継者がいるとは限らないうえ、相続人が複数いる場合、後継者の決定・経営権の集中ひいては株式の集約が困難であることが多いです。会社事業の円滑な遂行のためには、経営者が自社の株式の大部分を保有し、自社の経営権を確保しておくことが重要です。そのため、親族内承継を計画するにあたっては、依頼者様の状況に応じて、後継者あるいは安定株主への株式の集約をいかに実現するかという観点が非常に重要となります。

相続関係説明図 (そうぞくかんけいせつめいず)

相続関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係性を図式化し、一目でわかるように作成したものです。このような書類を作ることで、複雑な家族関係でも簡単に把握することができるようになります。また、被相続人が残した不動産について相続登記を行う際には、相続関係説明図を作成して提出すれば、法務局に提出した戸籍謄本等の資料を返してもらうことができます。戸籍を何度も集めるのは大変ですので、繰り返し登記を行う場合などには特に重要になるでしょう。

なお、相続関係説明図を作成する際に必要な資料は以下のとおりです。
1. 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍謄本
2. 亡くなった人の最後の住所を証する書面(住民除票もしくは戸籍の附票)
3. 相続人全員の住民票
4. 相続人全員の戸籍謄本(亡くなった日以降の日付のもの)

相続財産 (そうぞくざいさん)

相続財産とは、被相続人(亡くなった方)から相続人に引き継がれる財産や権利・義務などのことを言います。例えば、相続財産には、不動産(土地・建物)、預貯金、金融資産(株・国債)のようなプラスの財産や、債務等のマイナスの財産があります。また、これらのことを指して遺産ともいいます。

プラスの財産の例
不動産 土地と建物等。法務局で登記簿謄本を取得して確認します。
動 産  自動車、機械、美術品、宝石類、家具等。
債 権  売掛金や貸付金等。
現金・預貯金 金融機関の預貯金等。預金通帳の名義等で確認します。
株式・有価証券 被相続人名義の株式や社債・国債等。

マイナスの財産の例
債 務 住宅ローン、金融機関からの借入れ等。

相続税 (そうぞくぜい)

相続税とは、ご親族等の死亡により、亡くなった方(被相続人)の親族等(相続人)が相続で取得する財産に対して課税される税金のことをいいます。
相続税は、必ずしも全員に課されるものではありません。
基礎控除というものがあり、現在「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超える財産に対して課されるものです(この他にも相続税が課されない例外があります)。

もちろん、遺言によって相続することになった財産に対しても相続税は課されますので、法定相続人ではないけれども受遺者になった方も対象となります。

相続税の申告と納税には期限が設けられています。相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知った日(通常、亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。
この10か月の間に申告と納付が行われなかった場合、本来の支払うべき税金以外に加算税・延滞税が掛かってしまう場合がありますので、早期に手続きを進めていかなければなりません。

相続に関する審判 (そうぞくにかんするしんぱん)

相続に関する審判とは、相続に関する事柄について、当事者から提出された書類などの資料に基づいて裁判所が判断し決定する手続をいいます。例えば、相続放棄の申述や遺言書の検認、遺言執行者の選任などの手続を行う際に、裁判所の判断を仰ぐために審判手続を申し立てます。
また、相続に関する調停を申し立てたものの、話し合いがまとまらずに当事者間で合意することが出来なかった場合にも、裁判所が判断を下すために、審判手続に移行します。例えば、遺産分割について、当事者間で調停手続において話し合ったもののまとまらなかった場合には、遺産分割の審判手続に移ることになり、裁判官が資料等に基づいて遺産分割の方法を判断することになります。

相続に関する調停 (そうぞくにかんするちょうてい)

調停とは、裁判所における紛争解決の手続の一つで、中立な立場である調停委員や裁判官が仲立ちすることで、話し合いによって当事者間の争いを解決する手続です。
相続に関しても、このような調停手続によって話し合いによって解決することが期待されており、例えば、遺産分割調停、遺留分侵害額の請求調停、寄与分を定める処分調停、特別の寄与に関する処分調停などの調停手続があります。当事者同士の直接の話し合いでは話し合いが難しい場合に、当事者のいずれかが裁判所へ調停を申し立てることで、調停手続を始めることができます。

相続放棄 (そうぞくほうき)

相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない方法です。
財産を引き継ぐことは、良い面もあれば悪い面もあります。
なぜなら、必ずしも相続財産がプラスの財産ばかりとは限らず、負債などのマイナスの財産も含まれるからです。
そのため民法では、相続放棄が認められています。

相続放棄の方法を知らず、多額の負債を相続してしまう事態にならないよう、財産調査をしっかり行った上で、期限内に相続放棄をするかどうか見定めることが非常に重要です。
相続人は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申立てをしなければいけません。

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