コラム

2021.10.12

「デジタル監 画像無断転載で炎上」あなたの企業は大丈夫?著作物複製時の注意点

「デジタル監 画像無断転載で炎上」あなたの企業は大丈夫?著作物複製時の注意点

初代デジタル監の石倉洋子氏が、画像を無断転載したとしてSNSなどで炎上する事件が2021年9月3日に発生しました。石倉氏が炎上した原因や企業が無断転載をした場合に起きうること、無断転載をしないために注意点すべきポイントなどについてわかりやすく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(東京弁護士会)
千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。不動産法務、不動産法務と切り離せない相続を中心とした法律問題に取り組む。国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー・講演依頼も多く、不動産法務を基軸に積極的に活動している。

石倉デジタル監はなぜ炎上したのか

2021年9月1日に発足したデジタル庁の初代デジタル監に任命された石倉洋子氏が、発足早々にSNSなどで「炎上」する事件が発生しました。
炎上は石倉氏の謝罪により鎮火しているようですが、一体なぜ炎上してしまったのでしょうか?

PIXTAの有料画像を無断転載したことが発覚

石倉氏が炎上した原因は、自身の公式サイトへの画像の無断転載が発覚したことにあります。
問題のサイトにはいくつかの画像が掲載されていましたが、この画像に「PIXTA」という透かしが入ったままだったのです。

PIXTAとはウェブサイトなどで利用するための素材の販売サイトで、写真やイラスト素材などのデータを1枚単位または月額の定額制で販売しています。※1
購入する商品を選定するなどの目的で、購入前でも画像を閲覧することは可能ですが、これは実店舗でいうところの値札がついたままの商品であり、購入しないことには値札を外して自由に使うことはできません。

この購入前の商品であることを示す値札のような役割を果たすのが、「PIXTA」ロゴの透かしです。
つまり、石倉氏は正式に画像を購入せずに、PIXTAの画像を公式サイトで使用していたのです。
これは無断転載にあたり、いわばウェブ上の万引きのようなものだと考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。

無断転載を違法行為であると知りながら行ったのであれば当然問題となる行為ですし、違法行為だと知らなかったのだとしても「日本有数のデジタルに詳しい人」であるはずのデジタル監が行ってしまったことは到底看過できる問題ではなく、炎上状態となりました。

企業で画像の無断転載が発覚した場合に起きうること

石倉氏の事例でもわかるとおり、画像の無断転載は違法行為です。
仮に、「この程度なら大丈夫だろう」などと安易に行ってしまえば、次のような事態が生じる可能性があります。

損害賠償請求がなされる

画像の無断転載が発覚した場合、その画像の権利者から使用の差し止めを求められると共に、損害賠償請求や不当利得の返還請求がなされる可能性があります。

著作権法上の罰則対象となる

画像の無断転載は著作権法に違反する行為であり、罰則の対象ともなっています。
無断転載の罰則は、次のとおりです。

  • 10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または両方
  • 法人などの場合は、3億円以下の罰金

炎上すればその対応に追われる

画像などの無断転載を行ったことが発覚すれば、SNSなどで拡散され炎上してしまうおそれがあります。
炎上してしまうとその対応に追われ、業務に支障をきたしてしまう可能性があるでしょう。

企業の信頼が失墜する

無断転載を行ったことが発覚して広く知られることとなれば、企業の信頼が失墜する可能性があります。

特に、ニュースで取り上げられた場合やSNSなどで炎上していわゆるまとめサイトなどに掲載されてしまった場合などには、多くの人の知るところとなり、インターネット上で長期にわたって情報が残り、業績への影響も長期化してしまう可能性があるでしょう。

無断転載をしないために企業が注意すべき対策

無断転載の代償は、上記のとおり大きなものとなる可能性があります。
企業が無断転載をしてしまわないため、次の対策を検討しましょう。

著作権法を理解する

最も基本となる対策としては、著作権法をよく理解しておくことです。
著作権については文化庁などがホームページで詳しく説明していますので、こちらを一読しておくことをおすすめします。

インターネットサイトへの無断転載以外にも、たとえば新聞記事をコピーして社内回覧することなども著作権法に違反する可能性があります。
著作権法を正しく理解しておくことが、思わぬ違反を防ぐための第一歩です。

引用のルールを理解する

たとえば、他のインターネットサイト上の文章をまるごと「コピペ」することは、当然ながら著作権を侵害する行為です。
しかし、公正な慣行に合致することなど一定の要件を満たしたうえであれば、文章の一部を引用することは認められています。

思わぬ著作権侵害を防ぐため、こうした引用のルールを正しく理解しておきましょう。

画像販売サイトなどの利用規約をよく確認する

石倉デジタル監の炎上事件で話題となったPIXTAはでは、購入契約前の画像に透かしを入れることで正式に購入された画像と区別をしています。
透かしの入っている時点で画像をそのまま利用するには問題がありそうだと気づけそうなものですが、仮にその時点で気づけなかったとしても、利用規約を確認していれば透かしが入ったまま利用することが明らかな規約違反であることに気づけたことでしょう。

また、インターネット上には、画像の無料ダウンロードを認めているウェブサイトも存在します。
たとえば、「いらすとや」のイラストは無料で利用ができますし、「写真AC」は無料会員であっても制限された枚数のダウンロードや利用が可能です。

ただし、たとえ無料でのダウンロードや利用が認められているからといって、無制限に利用が許可されているわけではありません。
たとえば、写真ACでは、写真をカレンダーやジグソーパズルなど製品の主要コンテンツとして利用することなどを禁止しています。

画像販売サイトからダウンロードした画像を利用する際には、著作権法の他、各サイトの利用規約もよく確認したうえで利用するようにしましょう。

社内にルールを周知する

著作権についてのルールは、代表者などが理解しておくことはもちろん、社内にもよく周知するようにしましょう。

仮に一担当者の認識不足であったとしても、無断転載などの著作権侵害をしてしまえば、企業に大きな影響を及ぼす可能性があります。
著作権法に違反しないため、コンテンツ利用の際などの参照する社内ルールを構築したうえで、著作権法や万が一著作権侵害をした場合の影響などについての勉強会を開催するなどして、社内にルールを周知することが必要です。

まとめ

著作権についての理解はずいぶん進んできたように思いますが、まだそこまで重く捉えていない企業も存在するようです。

しかし、「このくらいなら大丈夫だろう」と甘く考えていると、石倉デジタル監のようにSNS上などで指摘がされ、大きな問題へと発展する可能性も否定できません。

著作権侵害を防止するための社内ルールなどについて、今一度検討されることをおすすめします。

著作権についての社内ルールの策定や著作権侵害などでお困りの際には、ぜひ弁護士へご相談ください。

オーセンスの弁護士がお役に立てること

今回のコラムでは、著作権侵害を起こさないために企業として行うべき対策を中心にお話しました。
このコラムを読まれた企業担当者の方で、「自社の対策で大丈夫だろうか?」というご不安が少しでもある場合には、弁護士による事前対策チェックをされることをお勧めします。
また、実際に著作権侵害に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合には、弁護士が入って速やかに解決することで、請求されている場合には企業の信用低下を最小限にすること、請求する場合には企業価値を最大限維持すること、が可能となります。
Authense法律事務所では、コンテンツビジネスや著作権法に詳しい弁護士が在籍しておりますので、著作権に関するご相談については、是非お気軽にお問合せください。

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